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また、高出力化にともない、シリンダヘッドの熱的負荷が増大することが考えられる。
このため、シリンダヘッド冷却水流れ試験装置を用いて、冷却水の流れを確認した。(図67)

 

冷却水の流れは基本的に良好であったが、一部に滞留が見られたが、形状の変更により改善されるものと考えられる。(図68)

 

3次元FEM解析により応力評価を実施した。
この結果、熱応力作用時に爆発面の吸排気ポートの一部の応力が他の部分よりも高くなっているが、過去の実績レベルであり、問題ないものと考えられる。
この他の機械応力、締付応力については応力レベルは低く、問題となる部分は見られない。(図69〜71)

 

b)320mm試験エンジン
水流試験装置を用いて、従来のシリンダヘッドに追加工により冷却水流れの改善を図ったシリンダヘッドを試作し、冷却水の流れを確認した。
この結果、滞流の生じる部分はなく、冷却水の流れはスムーズであり、この形状が良好であることを確認した。(図72)
片状黒鉛鋳鉄(FC)とバーミキュラ鋳鉄(FCV)についての、高温低サイクル疲労試験の結果および水流試験の結果による形状変更も合わせ、材質をバーミキュラ鋳鉄としたシリンダヘッドを製作した。
空気流れ試験装置を用いて、定常流空気流動試験を実施し、吸排気ポートともに十分な空気流量を確保していることを確認した。(図65、66)
また、プロトタイプエンジン用は、シリンダピッチが短縮されるため、シリンダヘッドの幅も短縮する必要がある。
エンジンの性能は燃焼室内に導入される空気量に影響されるため、シリンダヘッドの幅を短縮し、吸排気ポートの配置を変更したシリンダヘッドを試作して、これについても試験を実施した。
この結果、吸排気ポートの配置を変更したことにより、シリンダヘッドの幅が565mmから528mmに37mm短縮されたにも関わらず、同等の空気流量を確保していることを確認した。(図65、66)

 

 

 

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